むらさきのスカートの女。
読み終えた後、好きすぎて、
いろんな考えが巡りすぎて。
結局
①むらさきのスカートの女って何だったんだ
②主人公は何をしたかったんだ
この大きな二点がグルグルグルと考えるほど
いろんな可能性が浮かび、日常生活と照らし合わせ、また謎が広がる。。。
せっかくなので、このグルグル感を残しておこうと思う。
正解を示しているものではありません!
あと、ネタバレありでいきます!!
結局・・・
①むらさきのスカートの女って何だったんだ
☆むらさきのスカートの女ってそんなに風変わりな人間だったのか??
・・・むらさきのスカートの女。
いつも同じ公園の同じベンチに座り、同じクリームパンを食べている。
まぁ、場合によっては変わっているように見える。
髪がパサパサだったり、同じ服を着てたり(これに関しては、もはや本当に同じ服だったのかわからないけれど)すると、より不思議感は増すかも。
どうやって生活してるんだろう、どこに住んでるんだろう、家族は??
うーん、なんかあり得るかも。
注目し始めたら「違和感」にばかり目がいき
新たな「違和感」が見つかることを期待してしまうかも。
実際、ホテルの仕事を始めた【むらさきのスカートの女】をみると、期待を裏切られるほど、普通。
そりゃあ変わったところもある。
ベンチに放置された求人雑誌の、〇がついている会社に応募してしまうとんでもない単純さ。
新しい職場には、なじもうとするけど、慣れたらしっかりサボるし、みんなもやってるからと、ホテルの備品も勝手に持ち出しちゃう。
社内で恋愛に発展したら浮かれるのは仕方ないが、発展したらダメな相手でも止められない、暴走的な行動もしてしまう。
学校内なんかにいて、その子の素性を知っていれば、変わった子と思われる可能性は考えられる。
だが、ベンチに座ってて注目されるような特徴ではない。
注目してる人がいたとしても、「黄色いカーディガンの女」の耳に入る機会があるほどの強烈な個性があるとは思えない。
☆なんで真由子さんが、むらさきのスカートの女だったんだろう。
・・・そんなかんじで、、、
え?むらさきのスカートの女って全然変なところないじゃん!
普通なのにーっ!というほど確かに普通でもなく、かといってそこまでパンチのきいた変なところもない真由子さん。
これって、ほとんどの人にも当てはまるんじゃない?
だれからも「変」と思われる特徴・特性を持っていないひともいないし、一方で「変」とみんなから評価されている人たちも、思ったほど「変」にはあふれていない。
ちょっと「変」じゃない?って思ってた人が、予想外に「普通」の言動を繰り返した時にちょっと肩透かしを食らったような、残念とすら思ってしまうような、あの感覚を思い出して、なんだか恥ずかしくなる。
そんなちょっと「違う」ところを見つけて、「変」じゃない?とやいのやいの盛り上がる「グループの中にいる自分」を映し出されたみたいで。
広い世界でみたら、どっちもそんなに差異はないというのに。
☆そもそも本当にみんなから、むらさきのスカートの女と呼ばれていたの??
・・・だって、「何色の何をはいていたのかも思い出せない」わけだし(笑)
主人公のお姉さんをはじめ、いろんなひとに似てる。似てる人が多すぎるし、もはや似ているのかもわからない。
つまり、誰でもよかった?近づきたい人や友達になりたい人(この「友達」という概念もよくわからないけど。。。)のことを総称して、むらさきのスカートの女と呼んでいた??
表紙の絵が、二人の女の人が紫のスカートを履いていて、顔が見えないのよね。
紫のスカートの女は何人もいる?もしくは、誰でもない??
☆むらさきのスカートの女に接触したひとたちは、幸せになっている?!
・・・むらさきのスカートの女にぶつかった人は幸せになれる?でも、するりとかわすのがうまい紫のスカートの女にぶつかれる人はいない。
本当にそんな風に言われてたのか、真由子さんはぶつからないように動ける人だったのか、意識をしていたのか・・・よくわからない謎がたくさん。
こじつけかもしれないけど気づいたことがある。
・真由子の鼻をつまんだ(接触)主人公
→むらさきのスカートの女と同化し、他者の意識の世界に存在できるようになった(と思っている。)
・ベンチで肩を真由子の肩をたたいていた(接触)子供たち
→本人がそうなりたいと望んでいる遊び相手(主人公)に出会えた。
・階段から突き落とされた(接触)不倫相手の上司
→階段から落ちた事件があったことにより、不倫をしていたこともチャラのような状態に。赤ちゃんも生まれ家族を取り戻す。
主人公が、お店の看板に激突してまで接触したかった紫のスカートの女。
そして、接触した人たちに幸せを与えてた後、姿を消した女。
あれー!!やっぱり特別な存在なのか、紫のスカートの女。。。
②主人公は何をしたかったんだ
★ほんとうに真由子と友達?になりたかった??
・・・友達になりたい、と思う人に対する接し方じゃないのよね。
自分の勤務先に働きにくるよう動く積極性で距離を縮めるかと思えば、(詳細を知ったら拒絶される手段、笑)、いざ、同じ会社で勤務するようになっても積極的に会話をしようとしている描写はない。
バスが毎日一緒でも認識されないような仲?どういうこと?
主人公は本当に人間なの?何かの比喩なの?という推測もずっと並行しつつ読み進めることになった。
実際は、ちゃんとお互い顔見知りではあった。
でも、主人公の存在感がなさ過ぎた。
切なくなるほどの空気的存在。
だから、「特徴がある」「知り合いじゃないのにみんなに認知してもらえる」むらさきのスカートの女の存在に憧れたのかな。
近づきたいし、同じようになりたいと思ったのか。。。
★【むらさきのスカートの女】と友達になろうとしたのは初めて??
・・・つまりむらさきのスカートの女=憧れの女性。と言えるのか?
公園にいる子供たち、商店街の人たち、ホテルの従業員たちにとって、真由子がどのように見えているのか、の本当のところはわからない。
そんなことをみんなで噂しあう、情報がとびかうような空間の中に、主人公が入っているとは思えない。
もしくは、話が聞こえる距離はいるかもしれないけれど。
そこで耳にした一部を切り取って、噂になっている!!すごい!真由子になりたい!!と思ったのかもしれないな。
最後の展開で、めでたく「むらさきのスカートの女」のポジションを手にした主人公だけど、おそらくここからも期待していた注目を浴びることはなく、いままでと変わりのない日々がすぎていくんじゃないかなぁ。
そしたら、きっと主人公は「つぎのむらさきのスカートの女」を探す。
つまり、真由子が唯一のむらさきのスカートの女ではない。
だから、真由子がその日どんな服を着ていたのかも思い出せない。
一人目のスカートの女は、真由子を見ているとおもいだすと出てきたお姉ちゃんなのか、同級生なのか・・・
初めて、存在やポジションに憧れた女性が、履いていたのが紫のスカートだったんじゃないかな。。。
★会話がそんなに聞こえる?
・・・むらさきのスカートの女=主人公の憧れの象徴、だったとして、、、
やっぱり、憧れに近づくための主人公の行動が怖すぎる。
距離感が物理的にも心理的にも近すぎておかしいんだよなぁ。
個人的な会話の詳細が聞こえるような距離に同僚が存在してたら違和感しかないし。
バスの中で鼻をつままれたら、痴漢もだけど、主人公だってかなり警戒されそうだけど??
存在感がなさすぎる、で片づけていいの?すごすぎないか。。。
いや、ちがう。
主人公は十分に注目されていて、アンタッチャブルな存在としてド認識されているから、みんな触れないよう気づかないよう過ごしているのではないか??
主人公の願いは最初から叶っていて、本人は十分に【要注意の黄色いカーディガンの女】と存在している。
のかもしれない。
あぁ、まだ気づいていない子供たち。
そして、きっと、主人公の危険さに気づいてしまった後、見えないふりをする子供たち・・・
その後、黄色いカーディガンの女は、次なる居場所=次のむらさきのスカートの女を求め動く。。。
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なんだか、妄想ホラー解釈になってしまった。
けど、考えれば考えるほど面白い!!