2024年 読書メモ

2024年

1月

許されようとは思いません 芦沢央

儚い羊たちの祝宴 米沢 穂信

畜犬談 太宰治

正欲 朝井 リョウ

2月

煌夜祭 多崎礼

「しつもん」で夢中をつくる! 子どもの人生を変える好奇心の育て方 藤代圭一

紫式部の欲望 酒井順子

 

3月

子育て言い換え事典   -みんなの自己肯定感を高める 性格別やシーン別に使える- 石田勝紀

 

コロナ陽性、パキロビッドパックの副作用とたたかう。

コロナ陽性になりました。

 

今回、パキロビットパックを処方されて、

5日にわたり飲んだので、そのときの体の反応とか感想を

残しときます。

 

まず、今回のコロナ陽性に至るまでの話。

陽性反応がでた2日前から。

2日前:なんとなくのどに違和感。

痛みもないし、咳も出ない。風邪?という感じもしないけど、

いつもとは違う。乾燥かなぁ。。

1日前:昨日の違和感は続き、同じく痛みもないし咳も出ないけど

声が出にくい。のど飴と栄養ドリンクで解消。

 

陽性当日1日目:夜中くらいから体が重く嫌な予感はしてた。

朝起きたら声がほとんどでない。熱はかったら38度。

嗚呼、、、

病院にいって、コロナ×インフルの検査。

コロナ陽性。

パキロビットバックをもらって帰宅。

この日から朝夜と5日間、飲みました。

パキロビットパック600。二トマトレルビル2錠とリトナビル1錠の

合計3粒のかなり大きめの錠剤を一度に飲みます。

飲まずして肺炎になったり、病状が急変するのも嫌だから飲むのだけど、

得体の知れなさもあってドキドキ。

【体調がよくなったと自己判断して使用を中止したり、量を加減したりすると

病気が悪化することがあります。】

病院でも、絶対に5日分飲み切ることと念を押されたのも、

これまでにあまりない経験で緊張感高まる。。。

ちなみに併用不可の薬もあるようで。

私は、ジエノゲスト常時服用中。

パキロビットパック×ジエノゲストは同時に飲んでも問題ないそうな◎

薬を飲むとかなりの確率で副作用が出てしまうので、

神経質にはなりすぎないように、でも重大な反応は見逃さないように

自分を見守る・・・

1日目に気になったのは、飲んで30分後くらいから気絶したように寝てしまうこと。

めっちゃ眠い・・・という間もはさまないくらい、

あ、眠いかも、と横になった記憶を最後に時間がとぶ(笑)

これは、身体を休められるともいえるし、つらくて寝れないよりはいい、

という点がありつつも、

もしも子供と一緒に陽性になって、こどもの症状に反応しつつ休まなければ

ならなくなったときに気づいてあげられなさそう・・・とは思った。

今回、ソロ陽性だったので問題なしだったけど。

 

2日目:

声がさらにでない、もう音として出ない。。。

誰とも話すこともないけど、急な時も声が出ないので枕元にスマホ常備。

咳は出ず、熱は解熱剤を飲めば37度台まで落ちる。肺の苦しさもなし。

持病による不正出血が始まり、身体が重い。下腹が痛い。

この日くらいから、食べ物や飲み物を飲み込むのが痛くてつらい、

食べ物の味や食感がいつもと違う、が始まる。

パキロビッドパック、かなり苦いみたいで、飲み終わった後からじわじわと

苦みが下りてきて。夜もあまり眠れなかった・・・

コロナの症状なのか、副作用なのか不明だけど

米やうどんを食べると粘土みたいな感触。味もにおいも変。

バナナや梨は食べれた。

 

3日目:

のどの痛みがさらに増して、お茶を飲むのもつらい。

薬を飲むのもしんどい。うまくのみきれないからなのか

回数が重なるほど、あとからくる苦みが強くなる。

お茶漬けをいただくけど、粘土っぽくて食べれない。

パイナップルがのどに染みて涙目。

ゼリーとバナナで乗り切る。

 

4日目:

熱は平熱に戻った。食べてないからなのか貧血っぽいのが気になる。

戻ってくる苦みが強すぎて飲んだ30分後からの気絶根以外、寝付けない。

さすがにおなかがすいてくる。

トーストなら食べられることが判明。味濃いめの総菜もなんとか行ける。

アイス食べたい願望にかられる。

昨日くらいから下瞼が痛痒いような気がしていたけど、

鏡で見たら赤く少しただれた状態になってた。

副作用に<目の充血やただれ>の記載あり。

 

5日目:

そろそろ動く練習をしなければと、気絶寝タイム以外は布団から出てみる。

すぐ疲れてしまうけど、意外に動けて部屋のちょこちょこ掃除。

テレビを見るのも本を読むのも、すぐに疲れてしまう。

相変わらず苦みがすごい。気持ちが落ちるくらい苦い。

パンとゼリーで生きていく。お茶を飲むときののどの刺激が少しづつ緩和された。

今日でグッパイパキロビットパック!!

 

パキロバック終了後1日目:

久しぶりに必要なものを買いに外へ。

貧血っぽさはあって、疲れやすいけど、回復には向かってる。

声も復活!

お昼にはパスタを食べる。

パスタなら食べられる!!

米はまだ無理なので、夜ご飯はおかずだけで乗り切る。

この日から、少しだけ肺の苦しさを感じる。

パキロビットパックを飲んだことによって肺症状が抑えられてたのかも。

 

パキロバック終了後2日目:

体調はほぼ回復。ずっと作業をしたり、ずっと話していると

ぐっと疲れたり、肺が苦しくなったりする。

貧血っぽいのは、食べられない日が続いたからかも。

引き続き、基本炭水化物抜きのご飯。

気になっていた瞼の赤みやただれも自然に治った。

 

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こんな感じ!

回復後、一週間以上たって、白米も普通に食べれてます!

まだ口の中が少し膜が張ったような、薄い味がわかりにくいような感はある。

あと、不意にキュッと肺部分が苦しくなったりします。

自然に気にならなくなってくことを信じて、深く考えずに通常生活に戻ってます。

 

今回、パキロビットパックを飲んだことによって起こりうる副作用のなかで

私にあらわれた症状は、2つ。

全身→ふらつき(これはコロナのせいもあり、食べてなかったこともあり、だと思う)

眼→目のただれ

どちらも、服用が終わってからは自然に元に戻っている感じ。

 

それよりも、

・喉が痛い症状の中で大きな錠剤をのみ続けること

・24時間に口の中に苦みがおりてくること

・苦みのせいか、食べ物の味や食感がわからなかったこと

これらの症状の方がかなりつらかった。

なんとなく、気持ち的にしんどくなる薬でした。

特に熱がさがってコロナの症状が落ち着いてからは、

この薬とのお付き合いがつらかった。

でも、おかげで重症化もしなかったし、

ふだんなら風邪をひくと喘息っぽくなってしまうのだけど、

その症状がほとんどなく、むしろ飲み終わってからのが肺がしんどかったのは

効き目があったのかなぁとも思う。

 

不正出血はあったものの、いつも飲んでいるジエノゲストとも

一緒に飲めたのもよかった。。。

怖がらなくてもいい薬だということはわかったけど、

次回はないことを祈るばかり。

 

変な絵

 

話題の一冊ですね。

最近では、同じ「雨穴」さんが書いた

「変な家」がコミック化していたり。

 

ずっと気になっていてようやく手にしました!

1日であっという間に読みましたー。

 

読み終わった感想は、

ザッツ・エンターテインメント!!

今の時代に受けそうだな。旬だな~という感じ。

・たくさんの絵や図を使われていて、直感で読み進めやすい

・「なんだか気になる」奇妙な謎が物語の題材になっている

・ブログやYOUTUBEを活用して、物語の世界を広げているところ。

YOUTUBEで話の途中まで、映像もうまく使いながら続きは本で、、、とか

本当にあった話なの?と思わせるような物語にでてくるブログが本当に存在しているという作り込み様。

 

たとえとして出していいのか迷うのだけど、ウン十年前に流行った

携帯小説を思い出した。

勢いや、時代とのフィット感がある。

携帯小説は、きっと素晴らしい作品もあったのかもしれないけど、正直猫も杓子もとにかく書いてみました状態なイメージがあった記憶。

でも、当時は、読む側もそれを求めていたのよね。

 

雨穴さん作品は、

・直感で理解できる明快さ

・展開が速い

・答えがすぐに白黒と出る

・難しいことぬき!インパクト重視!

にプラスして、、、

SNSなど今の時代のものを上手に融合している

・上記の作り込み感がすごい

・読み手側を置いていかない、参加型のように読み進められる

 

【一緒に】推理して考えて、【割とすぐに】答えがわかる!

わかりやすさ×緻密さ。

こんなところがウケているのかなぁと思いました。

普段、本を読まない若い子たちからも反響がある

普段、本を読む人たちをも楽しませてくれる

どれもわかる気がします。

 

読んでみて・・・

面白かった!

この言葉につきる。

特番の二時間ドラマを見ている感覚で読めました。

読み終わった後の読後感も、まさに2時間読み終わった後のような、

「おもしろかったーっ!」っていう。

きれいなエンタメ作品。

 

一方、物足りなさを感じる面もあったのは事実。

妊娠の時期の描写だったり、心理学についての情報の引き出しだったり、

警察の中の事情についてだったり、

それぞれの登場人物の心理描写だったり、

展開も意外にあっけない。

正直、薄めだなぁ~浅めだな~というところはあるものの

そこに重点をおいてない、という解釈で

だからこそサクサクと読めるんだ!と、

おもしろい!と思うところに注目して、とにかくその瞬間を楽しみました。

 

読みやすさや、題材の引きの強さ、読み始めたら止まらない感じは

以前読んだ「ルビンの壺が割れた」を髣髴とさせたかな。

でも、「ルビンの壺」よりは読みごたえがありです◎

 

どんな人におすすめか?

YOUTUBEの雨穴さん動画を見て、おもしろい!きになる!と

思った人!

動画を見てからだと雰囲気も感じやすく、すんなり世界に入っていける。

読みやすさがより深まると思う。

 

こんな人にはちょっと物足りないかな・・・

ミステリー小説を複数読んだことがある方。

重厚だったり考えさせられる、深読みしたくなる作品が好きな方。

エビデンスや、背景など細かい設定が気になる方。

 

私は、考えすぎずに、誘導されるような感じで

映像を見ているように楽しく読めた。

まとまった時間でサクッと読みたい気分のタイミングで手に取ったので

ばっちりでした◎

 

鍵のない夢を見る 辻村深月

鍵のない夢を見る 辻村深月

 

 

短編集でした。

短編集、隙間時間読書になることが多い私には助かる!

軽く読めるのがいいところ♪

本音はどっぷり長編を読みたいのだけど。

 

グイグイ読み進められたけど、読むごとに自分のどこかをグリグリとえぐられるような気分になった。

前回読んだ、辻村深月本「パッとしない子」でも、似たような感情になったので、辻村深月あるあるなのかな。

自分に余裕がないとき、自信を喪失しているときに読んだら、心がやられそう(笑)

 

題名に引き寄せられて読んだのがきっかけ。

勝手にミステリー要素のあるものを想像していたけど違いましたね。

理想の世界の入り口は見えているのに、開け方がわからない、わかっていたとしても開けられず、そこにとどまってしまう。

もしくは開けてはいけない世界の入り口を見つけてしまって、開けてはいけないとわかっていてもそちらに行ってしまう・・・

という、理想の自分や、自分はこうであるはずだ!と描いている自分とのひずみが、ゆがんだ形でどんどん広がっていく感じ。

あー!ソッチ行っちゃだめー!でも、自分で選んで進んでいっているわ・・・

 

短編の話が進むごとに、主人公たちの暴走度も増していって非現実感も増すかと思いきや、取り上げられる題材がどんどん現実的で身近になってくる。

1話目は、転校してきた同級生の母親が泥棒の常習犯で、、、というトンデモ環境の話から始まることで、客観的に読んでいたのが、最後の話ではショッピングセンターにベビーカーで出かけた母子が、数分目を離したすきにわが子がいなくなってしまうという、想像ができすぎてゾッとしてしまうような身近な話で閉められる。

「鍵がない」未来を迎えることがわかっているだけに、題材が身近になってきたり、想像するに難くないものになってくるたび、自分自身に迫ってくるような感じがしてヒリヒリしてくる。

 

1話目は、泥棒である母をもつ同級生に、気づかないふりをして「あげている」、変わらない態度で接して「あげている」自分。

2話目は、好みではないけど自分に好意を持っていると思われる相手の気持ちに気づきながら、答えることはできないのに「拒まない」自分。

自分のことを想ったうえで起こしているであろう言動は、しっかりと見届ける優越感。

3話目は、友達により少しでも進んだ恋愛、明るい未来を誇示するために、相手は二の次、さらにはダメな相手だとわかったうえでも、身内への優越感を手放せない自分。

4話目は、非現実的な夢を見続けるダメな相手に、いつまでも翻弄され、つきはなすことなく、そこに自分の居場所を感じてしまっているような自分。

最終話では、満足に睡眠もできず、周りからのサポートや理解が浅い中、ひとりで子育てに向き合い、わが子を愛する故に、逃げ場をなくしている自分。

話が進むにつれ、合わせてあげる自分、支えてあげる自分、そのために無理をしている、苦しい日々を送っている自分にどこか満足しているようだ。

だから、彼らは鍵を開けない。

開けたら、自分の存在がなくなってしまうような気がするのだろうか。。。

 

話の展開もだけど、登場人物たちの内心秘めこんでいる自意識の高さや、自己評価の高さ、甘い未来の展開への期待、それを受けての他人の評価や反応がジリジリとグリグリと。

やめてくれ。

私の過去を含めての失言やダメな行動の記憶を呼び起こさないでくれ。

私の狡さや存在の中途半端さを解説しないでくれ。

つらかった過去、痛かった周りからの言葉を思い出させないで~。

と、後半読み進めるのがしんどかった。

でも、止められないし、最後まで見届けなければと思って全員がカギを開けられなかったのを見守りました。

 

読んで、すごく疲れた。

でも、やめられない。

きっと、私はまた辻村深月本を手に取ってしまうであろう。。。

読んでも罪悪感や、責められた気分にならないクリアな心の持ち主になりたい。。

 

 

おもしろさ★★★☆☆ 飽きずに次から次へ読めた。

暗さ★★★☆☆ 短編だから重々しさを感じにくく次の話に移るけど、展開的にはどれも明るくない

ミステリー度★★☆☆☆ ミステリー本、ではない。けど殺人事件は起きる。

心理描写度★★★★☆ おもてには出さない人の黒め、暗めな心理が描かれている。理解しがたいほどの真っ黒ではないところが、妙にリアル

 

【ネタバレあり】むらさきのスカートの女

 

むらさきのスカートの女。

 

 

 

読み終えた後、好きすぎて、

いろんな考えが巡りすぎて。

 

結局

①むらさきのスカートの女って何だったんだ

②主人公は何をしたかったんだ

 

 

この大きな二点がグルグルグルと考えるほど

いろんな可能性が浮かび、日常生活と照らし合わせ、また謎が広がる。。。

 

せっかくなので、このグルグル感を残しておこうと思う。

正解を示しているものではありません!

あと、ネタバレありでいきます!!

 

結局・・・

①むらさきのスカートの女って何だったんだ

 

☆むらさきのスカートの女ってそんなに風変わりな人間だったのか??

 ・・・むらさきのスカートの女。

  いつも同じ公園の同じベンチに座り、同じクリームパンを食べている。

  まぁ、場合によっては変わっているように見える。

  髪がパサパサだったり、同じ服を着てたり(これに関しては、もはや本当に同じ服だったのかわからないけれど)すると、より不思議感は増すかも。

  どうやって生活してるんだろう、どこに住んでるんだろう、家族は??

 

  うーん、なんかあり得るかも。

  注目し始めたら「違和感」にばかり目がいき

  新たな「違和感」が見つかることを期待してしまうかも。

 

  実際、ホテルの仕事を始めた【むらさきのスカートの女】をみると、期待を裏切られるほど、普通。

  そりゃあ変わったところもある。

  ベンチに放置された求人雑誌の、〇がついている会社に応募してしまうとんでもない単純さ。

  新しい職場には、なじもうとするけど、慣れたらしっかりサボるし、みんなもやってるからと、ホテルの備品も勝手に持ち出しちゃう。

  社内で恋愛に発展したら浮かれるのは仕方ないが、発展したらダメな相手でも止められない、暴走的な行動もしてしまう。

  学校内なんかにいて、その子の素性を知っていれば、変わった子と思われる可能性は考えられる。

 

  だが、ベンチに座ってて注目されるような特徴ではない。

  注目してる人がいたとしても、「黄色いカーディガンの女」の耳に入る機会があるほどの強烈な個性があるとは思えない。

 

☆なんで真由子さんが、むらさきのスカートの女だったんだろう。

 ・・・そんなかんじで、、、

  え?むらさきのスカートの女って全然変なところないじゃん!

  普通なのにーっ!というほど確かに普通でもなく、かといってそこまでパンチのきいた変なところもない真由子さん。

  これって、ほとんどの人にも当てはまるんじゃない?

  だれからも「変」と思われる特徴・特性を持っていないひともいないし、一方で「変」とみんなから評価されている人たちも、思ったほど「変」にはあふれていない。

  ちょっと「変」じゃない?って思ってた人が、予想外に「普通」の言動を繰り返した時にちょっと肩透かしを食らったような、残念とすら思ってしまうような、あの感覚を思い出して、なんだか恥ずかしくなる。

  そんなちょっと「違う」ところを見つけて、「変」じゃない?とやいのやいの盛り上がる「グループの中にいる自分」を映し出されたみたいで。

  広い世界でみたら、どっちもそんなに差異はないというのに。

  

☆そもそも本当にみんなから、むらさきのスカートの女と呼ばれていたの??

 ・・・だって、「何色の何をはいていたのかも思い出せない」わけだし(笑)

  主人公のお姉さんをはじめ、いろんなひとに似てる。似てる人が多すぎるし、もはや似ているのかもわからない。

  つまり、誰でもよかった?近づきたい人や友達になりたい人(この「友達」という概念もよくわからないけど。。。)のことを総称して、むらさきのスカートの女と呼んでいた?? 

  表紙の絵が、二人の女の人が紫のスカートを履いていて、顔が見えないのよね。

  紫のスカートの女は何人もいる?もしくは、誰でもない??

 

☆むらさきのスカートの女に接触したひとたちは、幸せになっている?!

 ・・・むらさきのスカートの女にぶつかった人は幸せになれる?でも、するりとかわすのがうまい紫のスカートの女にぶつかれる人はいない。

  本当にそんな風に言われてたのか、真由子さんはぶつからないように動ける人だったのか、意識をしていたのか・・・よくわからない謎がたくさん。

 

  こじつけかもしれないけど気づいたことがある。

  ・真由子の鼻をつまんだ(接触)主人公

  →むらさきのスカートの女と同化し、他者の意識の世界に存在できるようになった(と思っている。)

  ・ベンチで肩を真由子の肩をたたいていた(接触)子供たち

  →本人がそうなりたいと望んでいる遊び相手(主人公)に出会えた。

  ・階段から突き落とされた(接触)不倫相手の上司

  →階段から落ちた事件があったことにより、不倫をしていたこともチャラのような状態に。赤ちゃんも生まれ家族を取り戻す。

  主人公が、お店の看板に激突してまで接触したかった紫のスカートの女。

  そして、接触した人たちに幸せを与えてた後、姿を消した女。

  あれー!!やっぱり特別な存在なのか、紫のスカートの女。。。

 

②主人公は何をしたかったんだ

★ほんとうに真由子と友達?になりたかった??

  ・・・友達になりたい、と思う人に対する接し方じゃないのよね。

   自分の勤務先に働きにくるよう動く積極性で距離を縮めるかと思えば、(詳細を知ったら拒絶される手段、笑)、いざ、同じ会社で勤務するようになっても積極的に会話をしようとしている描写はない。

   バスが毎日一緒でも認識されないような仲?どういうこと?

   主人公は本当に人間なの?何かの比喩なの?という推測もずっと並行しつつ読み進めることになった。

   

   実際は、ちゃんとお互い顔見知りではあった。

   でも、主人公の存在感がなさ過ぎた。

   切なくなるほどの空気的存在。

   だから、「特徴がある」「知り合いじゃないのにみんなに認知してもらえる」むらさきのスカートの女の存在に憧れたのかな。

   近づきたいし、同じようになりたいと思ったのか。。。

      

★【むらさきのスカートの女】と友達になろうとしたのは初めて??

  ・・・つまりむらさきのスカートの女=憧れの女性。と言えるのか?

   公園にいる子供たち、商店街の人たち、ホテルの従業員たちにとって、真由子がどのように見えているのか、の本当のところはわからない。

   

   そんなことをみんなで噂しあう、情報がとびかうような空間の中に、主人公が入っているとは思えない。

   もしくは、話が聞こえる距離はいるかもしれないけれど。

   そこで耳にした一部を切り取って、噂になっている!!すごい!真由子になりたい!!と思ったのかもしれないな。

 

   最後の展開で、めでたく「むらさきのスカートの女」のポジションを手にした主人公だけど、おそらくここからも期待していた注目を浴びることはなく、いままでと変わりのない日々がすぎていくんじゃないかなぁ。

   そしたら、きっと主人公は「つぎのむらさきのスカートの女」を探す。

   つまり、真由子が唯一のむらさきのスカートの女ではない。

   だから、真由子がその日どんな服を着ていたのかも思い出せない。

   一人目のスカートの女は、真由子を見ているとおもいだすと出てきたお姉ちゃんなのか、同級生なのか・・・

   初めて、存在やポジションに憧れた女性が、履いていたのが紫のスカートだったんじゃないかな。。。

 

★会話がそんなに聞こえる?

  ・・・むらさきのスカートの女=主人公の憧れの象徴、だったとして、、、

  やっぱり、憧れに近づくための主人公の行動が怖すぎる。

  距離感が物理的にも心理的にも近すぎておかしいんだよなぁ。

  個人的な会話の詳細が聞こえるような距離に同僚が存在してたら違和感しかないし。

  バスの中で鼻をつままれたら、痴漢もだけど、主人公だってかなり警戒されそうだけど??

  存在感がなさすぎる、で片づけていいの?すごすぎないか。。。

 

  いや、ちがう。

  主人公は十分に注目されていて、アンタッチャブルな存在としてド認識されているから、みんな触れないよう気づかないよう過ごしているのではないか??

  主人公の願いは最初から叶っていて、本人は十分に【要注意の黄色いカーディガンの女】と存在している。

  のかもしれない。

  あぁ、まだ気づいていない子供たち。

  そして、きっと、主人公の危険さに気づいてしまった後、見えないふりをする子供たち・・・

  その後、黄色いカーディガンの女は、次なる居場所=次のむらさきのスカートの女を求め動く。。。

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  なんだか、妄想ホラー解釈になってしまった。

  けど、考えれば考えるほど面白い!!

 

むらさきのスカートの女

【第161回 芥川賞 受賞作】ということで、

読みにくさがあるのかも?解釈にハードル高め??と

構えて手に取った一冊。

 

 

 

 

結果。

 

めっちゃくちゃおもしろかった!&読みやすかった!!

普段、ミステリー小説を好む私だけど

これが純文学か!いいかも、純文学!!のきっかけを作ってくれました。

 

話にどんどん引き込まれる+とにかくよみやすい文体で

あっという間に読み進められたし、

読み終わったあとすぐに最初から読み直ししたくなって2周してしまった。

 

刺激的な表現や展開があるから引き込まれるわけでもないし、

かんたんな言葉で書かれているから読みやすいわけでもない。

【不穏】と【理解できない】の連続。

なのにスッと情景が浮かび、登場人物の顔が見え、声が聞こえる。

世界に入り込める感覚が気持ちよかった!!

 

いつも同じ公園の同じベンチに座ってすごす人がいる。

彼女は気づいていないかもしれないけど、近くで生活をする人たちの中で

彼女を知らないものはいない。

彼女はむらさきのスカートの女。

 

そんな彼女に近づきたい、友達になりたいと思っている主人公。

友達になれるきっかけをつくるべくうつした行動とは?

むらさきのスカートの女と友達になれる日はくるのか?

 

というのが話の軸と見せつつ、展開していく方向や

読者にとっての注目していく方向は、そこではなくなる。

 

街にいる、もしくは学校や職場にいる、

名前を知ってたり知らなかったりする、ちょっと不思議な人たち。

いるよね~。

この人ちょっと『そう』かも?!って思うと

変、と思うところに目がいくようになるし、

変、という言動をしてくれることにどこか期待してしまう。

でも、【変わったところもあるけど、普通の範囲内の人】で

あることがほとんどなんじゃないかなぁと

この本を見て改めて気づかされた。

逆に、この人変かも?!と思われるポイントをひとつも持ってない

人もいないかもしれない・・・

赤でも青でもない、トーンの濃さは違えど、この社会は

ほとんどが紫ゾーンのひとたちでできていて、

それぞれの紫具合の差異に注目してみたり、共感してみたり、除外してみたり

しているのが私たちなのかなぁと。

だけど、たまには紫の範囲から振り切ってはみ出た人だって存在する。

この本にも、【紫じゃない】登場人物が出てくる。

 

読み終わっても、今、この文を書いていても

どんどんこの本の面白さ、不可思議さ、巧さに気づいたり、

よりわからなくなったり。。

 

ミステリー度★★☆☆☆ ミステリージャンルではないけど、ちょっとちがう

            ホラー感はある

暗さ★★★☆☆ 明るくはない、、、でもなんか笑える暗さ?独特です。

読みやすさ★★★★☆ 環境を選ばずサクッと読める!!

意外性★★★☆☆ 物語の不思議、違和感には早めに気づく!気づいてても

         おもしろい!!

「さっちゃんは、なぜ死んだのか」いつ誰に起こるかわからない、起こってもおかしくない、、、

 

 

おもしろい★★★☆☆

とまらない★★★★☆

どんでん返し★★☆☆☆

ミステリー★★★☆☆

イヤミス度★★★☆☆

すぐ再読度★★★★☆

こどもに★☆☆☆☆

 

イヤミス好きな方◎

・水面から上に上がれない、女性たちの悶々とした空気を味わいたい方◎

・疾走感があるのにネットリとした作風が好きな方◎

 

 

真梨幸子さん。

『殺人鬼フジコの衝動』を10年ほど前に読んで以来。

 

フジコ、見ちゃなんねぇ、

これをおもしろい、好きっていうのって口に出しては言えない・・・

そんな作品だと思いながらも、

夢中になって読み進めた一冊でした。

物語の設定にも

残酷なシーンや理解しがたい登場人物たちの心理状況、

それだけでなく、物語に加えられた「仕掛け」にも

終始、驚嘆させられた!!

 

でも!

 

なんか!

わが子が小さかったそのころ。

『次の一冊』が気になりながらも、なかなか手を伸ばせなかった。

 

そして、今回。

ついにお久しぶりの再会。

 

その名も、

「さっちゃんは、なぜ死んだのか」

 

わぁ!

 

題名から、表紙の絵から不穏な空気がプンプン・・・

小学生の子供たちも

「絵、こわい!」

『死、って書いてある!!」

の反応でしたが、読みましたよー!!

 

フジコほどのグロドロ過激なかんじではなかったですが

本の外側にも負けず

中身もずーっと不穏。ずーっとジメジメ。

 

久賀沙知が公園で何者かに襲われ殺された。

彼女は住居を持たない生活をしていた。

彼女はなぜ殺されたのか?なぜ浮浪者になったのか?

久賀沙知が通っていたカフェで働いていた関口裕子は、

興味を惹かれ、久賀沙知について交友関係や過去について

たどっていく。。。

 

どんでん返し?というか、

叙述トリック的なものには気づきやすいのですが、

それがメインではないなぁ。

そのトリックがわかったところで、

光の方向に導いてくれるわけでもなく、

どん底に落とされるわけでもない。

結局、変わらない、続いていく「負のループ」

まさしく「呪」を表現するために、あえて推測しやすい

トリックを仕掛けてきたような気すらする。

 

最後には、え?あ?!あーーーっ!!となり(笑)

すぐに二周目に突入してしまいましたね。

すると、やっぱり一回目には見えなかったいろんなものが見えてくる。

そして、やっぱり見えないままのことも、多い。

さっちゃん、どこでボタンを掛け違えてしまったのだろう・・・

掛け違いはじめたものをもとに戻すことの難しさを痛感。

改めてやり直そうと思っても。最初からはやり直せない、

そんな現実の厳しさと

どんどん自分の思いと現実が乖離していく様と

次第に周りの環境、出会人たちも変わっていってしまうこと。

 

出てくる人たち、みんなうまくいっていない人たちばっかりなんだよなぁ。

それを不幸ととっているか、その中でも自分らしく生きているか、

幸せだった過去の記憶に憑りつかれるか、過去を切り捨てて生きていくか、

人ぞれぞれ、なのは興味深いところだった。

 

静かに、でも強い力で、リアルさを感じないほどの負の世界へ

連れていかれる。

私はバブル世代ではないけれど、昨今のコロナの影響や世界情勢、物価高騰とかを

見てると、「隣り合わせ』という言葉がしっくりきてしまう。

 

派手じゃなくても、びっくりするような出来事がなくてもいい

どうにか、少しづつでもプラスのループを循環させられるような

日々を送っていきたい、と願うわずにはいられなくなりました。

 

子供には。。。

早いですね。中高生でも、、、うーんちょっと早いかな。

熱海でコンパニオン、宗教入信など。。。

大学生、社会人になってから、どうぞ。

 

 

 

衝撃的に面白い一冊!とは思わなかったのだけど、

真梨さんの作品の雰囲気、好きなので

他作品も見たいなと思っているところです。

ページをめくるのが止まらなくなる

  +

最後まで読んだ瞬間、最初から読みたくなる!