むらさきのスカートの女

【第161回 芥川賞 受賞作】ということで、

読みにくさがあるのかも?解釈にハードル高め??と

構えて手に取った一冊。

 

 

 

 

結果。

 

めっちゃくちゃおもしろかった!&読みやすかった!!

普段、ミステリー小説を好む私だけど

これが純文学か!いいかも、純文学!!のきっかけを作ってくれました。

 

話にどんどん引き込まれる+とにかくよみやすい文体で

あっという間に読み進められたし、

読み終わったあとすぐに最初から読み直ししたくなって2周してしまった。

 

刺激的な表現や展開があるから引き込まれるわけでもないし、

かんたんな言葉で書かれているから読みやすいわけでもない。

【不穏】と【理解できない】の連続。

なのにスッと情景が浮かび、登場人物の顔が見え、声が聞こえる。

世界に入り込める感覚が気持ちよかった!!

 

いつも同じ公園の同じベンチに座ってすごす人がいる。

彼女は気づいていないかもしれないけど、近くで生活をする人たちの中で

彼女を知らないものはいない。

彼女はむらさきのスカートの女。

 

そんな彼女に近づきたい、友達になりたいと思っている主人公。

友達になれるきっかけをつくるべくうつした行動とは?

むらさきのスカートの女と友達になれる日はくるのか?

 

というのが話の軸と見せつつ、展開していく方向や

読者にとっての注目していく方向は、そこではなくなる。

 

街にいる、もしくは学校や職場にいる、

名前を知ってたり知らなかったりする、ちょっと不思議な人たち。

いるよね~。

この人ちょっと『そう』かも?!って思うと

変、と思うところに目がいくようになるし、

変、という言動をしてくれることにどこか期待してしまう。

でも、【変わったところもあるけど、普通の範囲内の人】で

あることがほとんどなんじゃないかなぁと

この本を見て改めて気づかされた。

逆に、この人変かも?!と思われるポイントをひとつも持ってない

人もいないかもしれない・・・

赤でも青でもない、トーンの濃さは違えど、この社会は

ほとんどが紫ゾーンのひとたちでできていて、

それぞれの紫具合の差異に注目してみたり、共感してみたり、除外してみたり

しているのが私たちなのかなぁと。

だけど、たまには紫の範囲から振り切ってはみ出た人だって存在する。

この本にも、【紫じゃない】登場人物が出てくる。

 

読み終わっても、今、この文を書いていても

どんどんこの本の面白さ、不可思議さ、巧さに気づいたり、

よりわからなくなったり。。

 

ミステリー度★★☆☆☆ ミステリージャンルではないけど、ちょっとちがう

            ホラー感はある

暗さ★★★☆☆ 明るくはない、、、でもなんか笑える暗さ?独特です。

読みやすさ★★★★☆ 環境を選ばずサクッと読める!!

意外性★★★☆☆ 物語の不思議、違和感には早めに気づく!気づいてても

         おもしろい!!