「さっちゃんは、なぜ死んだのか」いつ誰に起こるかわからない、起こってもおかしくない、、、

 

 

おもしろい★★★☆☆

とまらない★★★★☆

どんでん返し★★☆☆☆

ミステリー★★★☆☆

イヤミス度★★★☆☆

すぐ再読度★★★★☆

こどもに★☆☆☆☆

 

イヤミス好きな方◎

・水面から上に上がれない、女性たちの悶々とした空気を味わいたい方◎

・疾走感があるのにネットリとした作風が好きな方◎

 

 

真梨幸子さん。

『殺人鬼フジコの衝動』を10年ほど前に読んで以来。

 

フジコ、見ちゃなんねぇ、

これをおもしろい、好きっていうのって口に出しては言えない・・・

そんな作品だと思いながらも、

夢中になって読み進めた一冊でした。

物語の設定にも

残酷なシーンや理解しがたい登場人物たちの心理状況、

それだけでなく、物語に加えられた「仕掛け」にも

終始、驚嘆させられた!!

 

でも!

 

なんか!

わが子が小さかったそのころ。

『次の一冊』が気になりながらも、なかなか手を伸ばせなかった。

 

そして、今回。

ついにお久しぶりの再会。

 

その名も、

「さっちゃんは、なぜ死んだのか」

 

わぁ!

 

題名から、表紙の絵から不穏な空気がプンプン・・・

小学生の子供たちも

「絵、こわい!」

『死、って書いてある!!」

の反応でしたが、読みましたよー!!

 

フジコほどのグロドロ過激なかんじではなかったですが

本の外側にも負けず

中身もずーっと不穏。ずーっとジメジメ。

 

久賀沙知が公園で何者かに襲われ殺された。

彼女は住居を持たない生活をしていた。

彼女はなぜ殺されたのか?なぜ浮浪者になったのか?

久賀沙知が通っていたカフェで働いていた関口裕子は、

興味を惹かれ、久賀沙知について交友関係や過去について

たどっていく。。。

 

どんでん返し?というか、

叙述トリック的なものには気づきやすいのですが、

それがメインではないなぁ。

そのトリックがわかったところで、

光の方向に導いてくれるわけでもなく、

どん底に落とされるわけでもない。

結局、変わらない、続いていく「負のループ」

まさしく「呪」を表現するために、あえて推測しやすい

トリックを仕掛けてきたような気すらする。

 

最後には、え?あ?!あーーーっ!!となり(笑)

すぐに二周目に突入してしまいましたね。

すると、やっぱり一回目には見えなかったいろんなものが見えてくる。

そして、やっぱり見えないままのことも、多い。

さっちゃん、どこでボタンを掛け違えてしまったのだろう・・・

掛け違いはじめたものをもとに戻すことの難しさを痛感。

改めてやり直そうと思っても。最初からはやり直せない、

そんな現実の厳しさと

どんどん自分の思いと現実が乖離していく様と

次第に周りの環境、出会人たちも変わっていってしまうこと。

 

出てくる人たち、みんなうまくいっていない人たちばっかりなんだよなぁ。

それを不幸ととっているか、その中でも自分らしく生きているか、

幸せだった過去の記憶に憑りつかれるか、過去を切り捨てて生きていくか、

人ぞれぞれ、なのは興味深いところだった。

 

静かに、でも強い力で、リアルさを感じないほどの負の世界へ

連れていかれる。

私はバブル世代ではないけれど、昨今のコロナの影響や世界情勢、物価高騰とかを

見てると、「隣り合わせ』という言葉がしっくりきてしまう。

 

派手じゃなくても、びっくりするような出来事がなくてもいい

どうにか、少しづつでもプラスのループを循環させられるような

日々を送っていきたい、と願うわずにはいられなくなりました。

 

子供には。。。

早いですね。中高生でも、、、うーんちょっと早いかな。

熱海でコンパニオン、宗教入信など。。。

大学生、社会人になってから、どうぞ。

 

 

 

衝撃的に面白い一冊!とは思わなかったのだけど、

真梨さんの作品の雰囲気、好きなので

他作品も見たいなと思っているところです。

ページをめくるのが止まらなくなる

  +

最後まで読んだ瞬間、最初から読みたくなる!